BEASTARS 13巻 レビュー：社会人編突入！レゴシの新生活スタートで物語が新段階へ

作品概要

タイトル： BEASTARS 13巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2019年5月
巻数： 第13巻

あらすじ

12巻までの濃密な学園ドラマがひと段落し、13巻からはレゴシの社会生活にシフトします。
学園の外へ飛び出したレゴシは、新たな住環境でアパートの住人たちと出会い、世界がどんどん広がっていきます。
数年ぶりに再会した祖父ゴーシャとの共闘や、海洋区での新たな出会いなど、これまでとはまた違った青春を見せてくれる展開が始まります。

見どころ

学園から社会への舞台転換

これまでの学園という閉鎖的な空間から、より広い社会へと舞台が移り、物語の射程が大きく広がります。レゴシの世界観の拡大と共に、読者も新たな環境での彼の成長を見守ることになり、作品に新鮮な魅力をもたらしています。

アパートの個性豊かな住人たち

レゴシが住むアパートの住人たちが非常に魅力的に描かれています。ゴマフアザラシのサグワンさんをはじめとする多種多様な動物たちとの交流は、種族を超えた共存という作品のテーマをより深く掘り下げています。日常生活の中での小さな交流が心温まります。

ゴーシャとの再会と共闘

レゴシの祖父であるゴーシャとの数年ぶりの再会が感動的に描かれています。祖父と孫の絆、そして共に行動する姿は、家族の絆の大切さを改めて感じさせます。ゴーシャの過去についても新たな情報が明かされ、物語により深みを与えています。

海洋区という新たな世界

初となる海洋区への足取りにより、作品世界の地理的な広がりが示されています。これまで陸上の動物たちが中心だった物語に、海洋生物という新たな要素が加わり、世界観の多様性がさらに増しています。

作者の特色・技法

画力：社会人として成長したレゴシの表情や立ち居振る舞いが、これまでとは異なる成熟した魅力で描かれています。新たなキャラクターたちの個性も豊かに表現されており、作者の描写力の向上が感じられます。

演出：学園から社会への移行という大きな変化を、違和感なく自然に描くことに成功しています。新たな環境設定の提示方法も効果的で、読者を新しい世界へスムーズに案内しています。

ジャンルとしての評価

学園青春ものから社会派ドラマへの発展を遂げ、作品の成熟度が大幅に向上した重要な巻です。より幅広い社会問題を扱いながらも、キャラクターの魅力や人間関係の描写は変わらず丁寧で、ジャンルの拡大に成功しています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
物語の新たな段階への移行を見事に成功させた記念すべき巻です。学園という枠組みを離れることで、より広い視点から動物社会を描くことが可能になり、作品の可能性が大きく広がりました。新キャラクターたちの魅力や、レゴシの成長ぶりも印象的で、今後の展開への期待を高める充実した内容となっています。

こんな人におすすめ

• レゴシの新たな成長段階を見たい読者
• 社会派的なテーマに興味がある方
• 多様なキャラクターとの交流を楽しみたい読者
• 物語の新章の始まりを体験したい方