BEASTARS 2巻 レビュー：ルイとレゴシの複雑な想いが交錯！ビースター候補の野望と繊細な狼の葛藤

作品概要

タイトル： BEASTARS 2巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2017年4月
巻数： 第2巻（全22巻）

あらすじ

演劇部役者長のアカシカルイには熱い野望がありました。来るべき新歓公演で肉食獣と草食獣の共存共栄を高らかに謳い、英雄的地位「ビースター」へと駆け上がることです。
一方、レゴシはメスウサギのハルと出会った夜、捕食本能が暴発しかけたことで深い自己嫌悪に陥っていました。新歓公演を控え、それぞれの想いが複雑に絡み合っていきます。

見どころ

ルイの野心とカリスマ性

アカシカのルイというキャラクターが本格的に登場し、その野心と魅力が存分に描かれています。草食獣でありながらビースターという地位を目指す彼の強い意志と、演劇部を統率するリーダーシップは読者を魅了します。草食獣の立場から社会を変えようとする姿勢が印象的です。

レゴシの内面的成長

1巻での事件を経て、レゴシの心境の変化が丁寧に描写されています。ハルとの出会いをきっかけに、自分の本能と向き合うことになった彼の葛藤は、思春期特有の繊細さと重なって読者の共感を呼びます。内向的な性格の中にある優しさがより際立っています。

新歓公演という舞台設定

演劇部の新歓公演を中心とした展開が、学園生活のリアルな雰囲気を演出しています。公演の準備過程で見えてくる部員たちの関係性や、肉食獣と草食獣の微妙な距離感が上手く表現されており、群像劇としての魅力を高めています。

種族間の関係性の深掘り

肉食獣と草食獣という設定をさらに深く掘り下げ、それぞれが抱える問題や感情が明確化されています。表面的な共存の裏にある複雑な感情や、本能的な恐怖や憧れが繊細に描かれ、作品世界により深みを与えています。

作者の特色・技法

画力：キャラクターの感情表現がさらに洗練され、特にルイの威厳ある表情とレゴシの繊細な心境の変化が見事に描き分けられています。動物の特徴を活かした表現技法が向上しています。

演出：新歓公演のシーンでは舞台演出と現実の心情を巧みに重ね合わせ、読者に強い印象を与えています。コマ使いも計算され、緊張感のある場面とほのぼのした日常のメリハリが効いています。

ジャンルとしての評価

学園青春群像劇として、キャラクター同士の関係性がより複雑化し、物語に厚みが増しています。1巻で提示された世界観をさらに発展させ、読者を作品世界により深く引き込むことに成功している巻です。演劇部という設定も効果的に活用されています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
1巻で築いた基盤の上に、キャラクターの魅力と物語の深みを加えた充実の第2巻です。ルイという強烈なキャラクターの登場により、レゴシとの対比が際立ち、物語により多層的な面白さが生まれています。新歓公演を通じて見える学園生活のリアルさも魅力的で、今後の展開への期待を高める内容となっています。

こんな人におすすめ

• キャラクター同士の複雑な関係性を楽しみたい読者
• 演劇部の活動に興味がある方
• 野心と挫折を描いた青春ドラマが好きな読者
• 種族間の社会問題をテーマにした作品を求める方