HUNTER×HUNTER 17巻レビュー:ドッジボール決戦決着、ゲンスルーとの最終決戦開始

少年漫画

作品概要

タイトル: HUNTER×HUNTER 17
作者: 冨樫義博
出版社: 集英社(ジャンプコミックス)
発売日: 2003年4月
巻数: 第17巻

あらすじ

レイザーとの激しいドッジボール戦が最高潮を迎えます。
ビスケがアウトになる中、ゴンは内野に復帰しジャンケングーを使った渾身の一撃を放ちます。
レイザーのレシーブとヒソカのバンジーガムが織りなす攻防の末、ついにドッジボール勝負に決着がつきます。
一方、ツェズゲラ組はゲンスルーとの交渉で時間稼ぎを行い、ゴンたちは最終決戦に向けて修行を重ねます。そしてついに、爆弾魔ゲンスルーとの直接対決が始まる緊迫の一冊です。

見どころ

ゴンのジャンケングーと成長の証明

この巻最大の見どころは、ゴンが渾身の力を込めて放つジャンケングーです。レイザーという強敵を前にして、これまでの修行の成果を全て注ぎ込んだ一撃は、彼の成長を象徴する名場面として描かれています。特に溜めの時間とオーラの集中度が以前とは比べ物にならないほど向上しており、ビスケの指導の成果が如実に表れた瞬間として感動的に表現されています。

レイザーとヒソカの高度な念能力攻防

レイザーの放出系能力とヒソカのバンジーガムによる攻防は、念能力バトルの頂点を極めた名勝負として描かれます。レイザーのスパイクに込められた圧倒的な威力と、それをヒソカが巧妙に利用して反撃に転じる技術は、両者の経験と実力の高さを示す印象的な場面です。特にバンジーガムの応用技術の多彩さは、ヒソカの戦術的な巧みさを再認識させる展開となっています。

チームワークによる最後の一撃

ドッジボール戦の決着となる最後の場面では、ゴン、キルア、ヒソカの三人による完璧なチームワークが発揮されます。それぞれの能力特性を活かした連携プレーは、個人の力を超えた集団戦術の美しさを表現した名シーンです。特に普段は一匹狼的なヒソカが、チームプレーに徹する姿は意外性と説得力を兼ね備えており、読者に深い印象を与えています。

ゲンスルーとの対決に向けた準備と覚悟

ツェズゲラ組がリタイアし、いよいよゲンスルーとの最終決戦が避けられない状況となる展開は、物語の緊張感を一気に高めます。爆弾魔の恐ろしい能力を理解しながらも、それに立ち向かう覚悟を固めるゴンたちの姿は、彼らの成長と勇気を示す重要な場面です。特に圧倒的な実力差を認識しながらも諦めない姿勢は、少年漫画の王道要素として読者の心を打ちます。

作者の特色・技法

冨樫義博先生の戦闘描写技術が最高レベルで発揮された巻です。ドッジボールという制約のある中での念能力バトルは、ルールによる制限が逆に創造性を生み出す好例となっています。また、各キャラクターの個性を活かした戦術の描写は非常に巧みで、読者が戦略を理解しながら楽しめる構成となっています。コマ割りも効果的で、特にゴンのジャンケングーの溜めの表現は、時間の流れと力の蓄積を見事に視覚化しています。

ジャンルとしての評価

制約のあるルール下での戦略バトルという新しい形式を確立した画期的な作品です。スポーツの枠組みを借りながら、念能力という超能力要素を組み合わせることで、従来のバトル漫画にはない独創性を生み出しています。また、個人戦からチーム戦への発展、そして次なる強敵への準備という構成は、読者を飽きさせない優れたストーリーテリングとして評価できます。

総合評価

★★★★★ 5/5 ドッジボール戦の完結とゲンスルー戦の開始という二つの重要な展開を含み、HUNTER×HUNTERの戦闘描写が頂点に達した傑作巻です。ゴンの成長、チームワークの美しさ、そして新たな強敵への挑戦という要素が完璧に融合し、読者にとって忘れられない印象を残す構成となっています。特にドッジボール戦の決着は、シリーズ中でも屈指の名勝負として多くの読者に愛され続けています。

こんな人におすすめ

  • 主人公の成長と技の完成を楽しみたい方
  • チームワークと連携プレーを重視する方
  • 高度な念能力バトルの醍醐味を求める方
  • 戦略性と感動を両立した展開を好む方
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