BEASTARS 17巻 レビュー：メロン打倒へ！レゴシとシシ組が一時休戦で「コピ・ルアク」を追え

作品概要

タイトル： BEASTARS 17巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2020年1月
巻数： 第17巻（全22巻）

あらすじ

メロンを打倒するために、レゴシとシシ組が一時休戦することになります。共通の敵を前に手を結んだ両者は、ジャコウネコが率いる謎の組織「コピ・ルアク」を探すことになりました。これまで対立関係にあった肉食獣同士が協力し合う異例の展開の中で、メロンという強大な敵に立ち向かうための準備が本格化していきます。

見どころ

レゴシとシシ組の意外な共闘

これまで敵対関係にあったレゴシとシシ組が、共通の脅威であるメロンを前に手を結ぶという予想外の展開が興味深く描かれています。敵の敵は味方という状況の中で、それぞれの信念や価値観の違いを乗り越えて協力する過程が丁寧に表現されています。

謎の組織「コピ・ルアク」の登場

ジャコウネコが率いる「コピ・ルアク」という新たな組織が物語に登場し、作品世界の複雑さがさらに増しています。この組織がメロン打倒にどのような役割を果たすのか、その正体と目的が読者の興味を強く引きつけます。

メロンの脅威の拡大

前巻で重傷を負わせたメロンの脅威が、より広範囲に及んでいることが明らかになります。個人の問題から社会全体の問題へと発展する中で、メロンという存在の危険性と影響力の大きさが浮き彫りになっています。

レゴシの復活への道のり

重傷から回復しつつあるレゴシの状況と、彼がメロンとの決戦に向けてどのような準備を進めているかが描かれます。肉体的な回復だけでなく、精神的な成長と決意の固まりも表現され、最終決戦への期待を高めています。

作者の特色・技法

画力：異なる組織に属するキャラクター同士の微妙な関係性や緊張感が、表情や仕草で巧みに表現されています。特に一時休戦という不安定な状況下でのキャラクター同士の相互作用が印象的です。

演出：これまで対立していた勢力同士が協力するという劇的な展開を、説得力を持って描く構成力が光っています。読者に違和感を与えることなく、物語の新たな局面への移行を成功させています。

ジャンルとしての評価

個人の復讐劇から、より大きなスケールでの社会問題解決へと物語が発展し、作品のスケール感が大幅に拡大しています。敵味方の関係性の変化により、物語により複雑で興味深い展開が生まれており、読者の期待を高めることに成功しています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
メロンという強大な敵を前にした新たな連合関係の構築が興味深く、物語に予想外の展開をもたらした重要な巻です。これまでの対立構造を覆す設定により、キャラクター同士の関係性がより複雑で魅力的なものとなっています。「コピ・ルアク」という新要素の登場も含めて、最終決戦に向けての期待を大いに高める充実した内容となっています。

こんな人におすすめ

• 敵味方の関係性の変化を楽しみたい読者
• より大きなスケールでの物語展開を求める方
• メロンとの最終決戦に向けた準備過程に興味がある読者
• 新たな組織や勢力の登場を期待する方