BEASTARS 7巻 レビュー：食殺事件再始動！レゴシの新たな決意とルイの裏社会転落

作品概要

タイトル： BEASTARS 7巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2018年4月
巻数： 第7巻

あらすじ

ハルを幸せにするために強くなると誓ったレゴシと、シシ組のボスに君臨し裏市を席巻するルイ。
一方、チェリートン学園では5年間も不在の「ビースター」を決める全生物集結評議会が開催されます。世界が大きくうねり出す中、テム食殺事件が再び動き出し、レゴシに不穏な影が忍び寄ります。
物語が新たな段階へと突入する重要な転換点となる巻です。

見どころ

食殺事件の本格的な再始動

しばらく停滞していたテム食殺事件が再び動き出し、物語の根幹となるミステリー要素が本格的に復活します。新たな手がかりや展開により、事件の真相に迫る緊張感あふれる展開が読者の興味を強く引きつけます。犯人の正体に関する新たな謎も提示されます。

ビースター選出という重要な政治的展開

学園で開催される全生物集結評議会により、長年空位となっていたビースターの座を巡る動きが本格化します。この政治的な展開は作品世界の社会構造をより深く掘り下げ、個人の恋愛から社会全体の問題へとスケールを拡大させています。

レゴシの強くなりたいという新たな決意

ハルとの関係を経て、守るべきものを見つけたレゴシの新たな決意が描かれています。これまでの受動的な姿勢から、積極的に強さを求める姿勢への変化は、彼のキャラクター成長における重要な転換点となっています。

ルイの裏社会での苦悩と君臨

シシ組のボスとなったルイの裏社会での苦悩と葛藤が丁寧に描かれています。草食獣でありながら肉食獣の世界で生きることの困難さと、それでも前に進もうとする彼の強い意志が印象的に表現されています。二つの世界で生きるキャラクターたちの対比も見事です。

作者の特色・技法

画力：学園と裏社会という対照的な世界を描き分ける技術が向上し、それぞれの世界観を効果的に表現しています。キャラクターの成長に合わせた表情の変化も丁寧に描かれています。

演出：複数の展開を並行して進める構成力が光り、読者を飽きさせない展開の妙が見事です。緊張感のある場面での間の取り方や、重要な情報の提示タイミングが計算されています。

ジャンルとしての評価

青春群像劇、恋愛、ミステリー、社会派と多角的な要素を併せ持つ作品として、ジャンルの枠を超えた魅力を発揮しています。食殺事件の再始動により、物語の核心部分が再び注目され、読者の関心を強く引きつけることに成功しています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
物語が新たな段階に突入し、多方面での展開が同時に進行する充実した巻です。食殺事件の再始動、ビースター選出、レゴシとルイそれぞれの新たな道のりが巧妙に織り込まれ、今後の展開への期待を大いに高めます。キャラクターの成長と世界観の拡大が見事にバランスされた、シリーズの中でも重要な位置を占める内容です。

こんな人におすすめ

• ミステリー要素の復活を待っていた読者
• キャラクターの新たな成長段階を見たい方
• 社会派要素を含む群像劇に興味がある読者
• 複数の展開が並行して進む複雑な物語構成を楽しみたい方