あらすじ
ついに宮殿突入作戦が開始されます。ゴンたちは中央大階段から宮殿内に突入し、同時にゼノとネテロが上空から強襲を開始します。
ハンター協会会長ネテロの「百式観音」がついに発動し、王メルエムとの伝説的な戦いが始まります。
ネテロの壮絶な過去が明かされ、ユピーとの激戦も同時進行。モラウはプフと遭遇し、宮殿内は前代未聞の大混戦状態となります。
キメラアント編最大の山場が始まる歴史的な一冊です。
見どころ
ネテロの百式観音と王との頂上決戦
この巻最大の見どころは、ハンター協会会長ネテロと王メルエムの頂上決戦です。ネテロの奥義「百式観音」の発動は、シリーズ中でも最も印象的な念能力の一つとして描かれます。千手観音像を具現化した圧倒的な攻撃力と、それに対する王の冷静な分析力との攻防は、念能力バトルの頂点を極めた名勝負として展開されます。特にネテロの手の動きと観音像の攻撃パターンの緻密な描写は圧巻です。
ネテロの過去と修行の壮絶さ
ネテロの過去エピソードは、彼の圧倒的な実力の源泉を明かす重要な場面です。山中での孤独な修行、一日一万回の感謝の正拳突き、そして祈りが念能力となった経緯は、努力と信念の結晶として感動的に描かれています。特に若き日のネテロが修行によって人間の限界を超えていく過程は、念能力の根本原理である「心の力」を体現した名シーンとなっています。
宮殿内での同時多発戦闘の緊迫感
宮殿内で同時進行する複数の戦闘は、物語の緊張感を最大限に高める構成となっています。ゴンたちの突入、ネテロ対王、ユピーとの遭遇、モラウ対プフなど、それぞれが高いレベルでの戦闘として描かれています。特に予期せぬ場所にユピーがいたことで計画が狂い始める展開は、戦争の不確実性と混沌を見事に表現しており、読者にリアルな戦場感を提供しています。
ゼノとネテロの連携と作戦の巧妙さ
ゼノの「龍星群(ドラゴンダイヴ)」による空中からの攻撃と、ネテロとの連携作戦は、プロハンター同士の息の合った戦術として印象的です。ゼノの豊富な経験と冷静な判断力、そして王を確実に分離する戦略的思考は、ベテランハンターの技量の高さを見せつけます。二人の長年にわたる信頼関係も、セリフではなく行動を通じて自然に表現されている優れた演出です。
作者の特色・技法
冨樫義博先生の戦闘描写技術が最高潮に達した巻です。百式観音の攻撃パターンや、王の回避動作、ユピーの変身など、それぞれの念能力の特徴を活かした戦闘が詳細に描かれています。また、複数の戦闘を同時並行で描く構成力も見事で、読者が混乱することなく各戦線の状況を把握できるよう計算されています。ネテロの過去シーンでは、時間の経過と修行の厳しさが効果的に表現され、キャラクターの深みを増しています。
ジャンルとしての評価
少年漫画におけるバトルシーンの最高峰の一つとして評価できる傑作です。単純な力の応酬ではなく、それぞれの人生観、価値観、そして修行によって培われた技術が衝突する深みのある戦いとして描かれています。特にネテロの修行エピソードは、努力と信念の重要性を説く教育的価値も持ち、エンターテイメントとしての面白さと人生の教訓を両立させた優れた作品として、ジャンルの模範的存在となっています。
総合評価
★★★★★ 5/5 キメラアント編の最大の山場として、HUNTER×HUNTERの全ての魅力が凝縮された傑作巻です。ネテロ対王という伝説的な戦い、複数戦線での同時戦闘、キャラクターの過去と現在の融合など、あらゆる要素が最高レベルで表現されています。特に百式観音の迫力とネテロの人間的魅力は、読者に強烈な印象を残し、シリーズ全体でも屈指の名場面として記憶に残る内容です。
こんな人におすすめ
- 伝説的なレベルの念能力バトルを楽しみたい方
- キャラクターの過去と修行エピソードを重視する方
- 複数の戦線が同時進行する壮大なスケールを求める方
- 努力と信念をテーマにした感動的な物語を好む方