東京心中・2 – レビュー：恋人関係になった二人の波瀾万丈な日々

作品概要

タイトル： 愛してるって言わなきゃ殺す- 東京心中・2 –
作者： トウテムポール
出版社： 茜新社（EDGE COMIX）
発売日： 2014年8月
巻数： 3巻（全10巻完結済み）

あらすじ

テレビ制作会社でようやくADの仕事にも慣れてきた宮坂絢は、上司のディレクター矢野聖司に認められ、ついに一線を越えて恋人になりました。
しかし、嫉妬したり、ケンカしたり、イチャついたりと、仕事も恋愛も波瀾万丈です。二人の関係はより深くなる一方で、新たな問題も次々と浮上してきます。

見どころ

恋人になった二人のリアルな関係性

ついに恋人同士になった宮坂と矢野ですが、決して順風満帆ではありません。職場での立場の違い、価値観の相違、お互いへの理解不足など、現実的な恋愛の問題が次々と描かれます。「恋人になったから万事解決」ではない、大人のリアルな恋愛模様が魅力的です。

嫉妬と和解の繰り返し

タイトルの「愛してるって言わなきゃ殺す」が示すように、宮坂の嫉妬深さと矢野の鈍感さが生み出すすれ違いが見どころです。些細なことでケンカになったり、仲直りしたりする様子は、恋愛あるあるとして多くの読者が共感できるでしょう。

職場での秘密の関係

同じ職場で恋人関係を続ける困難さが丁寧に描かれています。周囲にバレないよう気を使いながらも、つい感情が表に出てしまう場面など、緊張感のある展開が楽しめます。特に職場での二人の微妙な距離感の演出が秀逸です。

キャラクターの成長

恋愛を通じて、両キャラクターが少しずつ成長していく様子が描かれています。宮坂はより自信を持つようになり、矢野も徐々に感情を表現するようになっていきます。この成長過程が自然で説得力があり、読者の心を掴みます。

茜新社版だけの番外編

茜新社版には、他では読めない番外編が収録されています。本編では見られない二人の日常的な一面や、よりプライベートな時間が描かれており、ファンには嬉しい特典となっています。

作者の特色・技法

この巻では特に、キャラクターの感情の変化を表現する技法が向上しています。嫉妬や喜び、困惑など複雑な感情を、表情だけでなく体の動きやコマの構成で表現する手法が見事です。また、シリアスとコメディのバランスが絶妙で、重くなりすぎない読後感を実現しています。

ジャンルとしての評価

ワーキングBLとして、恋人関係になった後の現実的な問題を正面から描いた意欲作です。多くのBL作品が恋人になるまでを描いて終わることが多い中、その後の関係継続の困難さまで描いた点が評価できます。ジャンルの発展に寄与する、質の高い作品と言えるでしょう。

総合評価

★★★★☆ 4/5
恋人になった二人の現実的な恋愛模様を丁寧に描いた、シリーズ第3弾にふさわしい完成度の高い作品です。ケンカとイチャラブを繰り返す二人の関係に一喜一憂しながら読み進められます。恋愛の甘酸っぱさと大人の現実を両方味わえる、読み応えのある一冊です。

こんな人におすすめ

• シリーズを継続して読んでいる人
• 恋人同士のリアルな関係を楽しみたい人
• 嫉妬やすれ違いのある恋愛が好きな人
• キャラクターの成長過程を見守りたい人