来世は他人がいい 1巻 レビュー：極道×恋愛の新感覚！異色の婚約者に翻弄される女子高生の物語

作品概要

タイトル： 来世は他人がいい
作者： 小西明日翔
出版社： 講談社（アフタヌーン）
発売日： 2017年11月
巻数： 1巻

あらすじ

関西最大の暴力団・桐ヶ谷組直系「染井組」の組長の孫として生まれ育った女子高生染井吉乃。極道の血筋でありながら、これまでおとなしく平穏に過ごしてきた彼女の運命が、祖父が決めた縁談によって大きく変わります。婚約者は関東最大の暴力団・砥草会直系「深山一家」の総長の孫深山霧島。見た目は美しいが、その正体は常識の通じない危険な男でした。

見どころ

キャラクターの魅力と対照的な個性

染井吉乃は極道の家系に生まれながらも、常識的で芯の強い女子高生として描かれています。一方、婚約者の深山霧島は美貌の裏に狂気を秘めた複雑なキャラクター。この二人の正反対な性格が生み出す化学反応が、読者を一気に物語の世界に引き込みます。吉乃の冷静さと霧島の予測不能な行動のコントラストが、緊張感とコミカルさを同時に演出しています。

独特な極道世界観の構築

作者の小西明日翔先生は、従来のヤクザ漫画とは一線を画した独自の世界観を創造しています。重厚すぎず、かといってコミカルになりすぎない絶妙なバランスで、極道の世界を現代的にアレンジ。暴力的な要素は控えめながら、その裏に潜む緊張感をしっかりと描き出しています。

予想がつかないストーリー展開

1巻から霧島の異常な行動や発言が次々と明かされ、読者は「この男の正体は一体何なのか？」という疑問を抱かずにはいられません。吉乃との関係性も、単純な恋愛関係では収まらない複雑さを秘めており、先が読めない展開に心を掴まれます。

洗練された画力と演出技法

小西先生の描く絵柄は非常に個性的で、美しいキャラクターデザインと表情豊かな描写が印象的です。特に霧島の表情の変化や吉乃の強さを表現するシーンでは、コマ割りや構図の工夫によって、読者に強烈なインパクトを与えています。

作者の特色・技法

小西明日翔先生の画力は、繊細でありながら力強さも併せ持っています。キャラクターの心理状態を表情や仕草で巧みに表現し、読者に言葉以上のメッセージを伝える技術が秀逸です。また、極道という重いテーマを扱いながらも、適度なコミカル要素を織り交ぜることで、幅広い読者層にアプローチできる作品に仕上げています。

ジャンルとしての評価

極道×恋愛というジャンルにおいて、本作は従来の作品とは明らかに異なるアプローチを取っています。暴力的な描写よりもキャラクター同士の心理戦に重点を置き、読者の興味を「次に何が起こるのか？」という部分に集中させることに成功。ジャンルの新たな可能性を示した革新的な作品といえるでしょう。

総合評価

★★★★☆ 4/5

キャラクターの魅力、独特な世界観、予測不能な展開、すべてが高水準でバランス良く配置された1巻です。特に霧島というキャラクターの不気味さと吉乃の芯の強さの対比が見事で、続きが気にならずにはいられない仕上がりとなっています。極道漫画の新境地を開いた注目作として、多くの読者におすすめできる作品です。

こんな人におすすめ

• 従来の極道漫画とは違う新鮮な作品を探している方
• 心理戦やキャラクター同士の駆け引きが好きな方
• 予測不能な展開とスリルを求める大人の読者
• 恋愛要素のある青年漫画をお探しの方