来世は他人がいい 2巻 レビュー：急展開！フィリピンマフィアが巻き起こす危険な事件の行方

作品概要

タイトル： 来世は他人がいい
作者： 小西明日翔
出版社： 講談社（アフタヌーン）
発売日： 2018年7月
巻数： 2巻 ※既刊8巻（2023年10月現在）

あらすじ

東京での生活を始めた染井吉乃でしたが、平穏な日々は長くは続きませんでした。関東最大の暴力団・砥草会の三次団体である赤座興業の会長の娘赤座しおりが突如失踪する事件が発生。偶然にも夜の街でしおりを目撃した吉乃は、この事件の背後に潜むフィリピンマフィアとの金銭トラブルに巻き込まれることになります。そして婚約者の深山霧島は、なぜか妙に楽しそうな様子を見せるのでした。

見どころ

スリル満点の事件展開と緊張感

2巻では1巻で描かれたキャラクター紹介から一転、本格的な事件が物語の中心となります。赤座しおりの失踪事件は単なる家出ではなく、国際的な犯罪組織との複雑な関係が絡んでいました。吉乃が偶然この事件に関わってしまう展開は、読者をハラハラドキドキさせる見事な構成となっています。

霧島の異常性がより鮮明に

1巻でも十分に印象的だった霧島の危険な一面が、2巻ではさらに際立って描かれています。事件が起きても楽しそうにしている彼の表情や行動は、読者に「この男の本当の正体は何なのか？」という強烈な印象を残します。美しい外見とは裏腹の狂気性が、物語に独特の緊張感を与えています。

吉乃の強さと成長の兆し

危険な状況に巻き込まれながらも、吉乃は持ち前の芯の強さで状況に立ち向かいます。極道の孫として育った彼女の血筋が、緊急事態において発揮される場面は圧巻です。ただの女子高生ではない、彼女の内に秘められた強さが徐々に表面化してくる過程が丁寧に描かれています。

関東ヤクザ勢力の人物相関図

2巻では関東各地のヤクザ関係者が続々と登場し、複雑な勢力図が明らかになります。それぞれのキャラクターが個性的で魅力的に描かれており、単なる脇役にとどまらない存在感を放っています。この人物相関の広がりが、物語により深みを与えています。

作者の特色・技法

小西明日翔先生の演出力が特に光る巻です。緊張感のあるシーンでのコマ割りや構図の工夫により、読者は物語の世界に完全に没入できます。また、キャラクター一人ひとりの表情や仕草を通じて、言葉では表現されない心理状態を巧みに描写する技術が際立っています。

ジャンルとしての評価

極道ラブストーリーというジャンルにおいて、2巻は恋愛要素よりもサスペンス・アクション要素が強くなっています。しかし、それがかえって作品の幅広さを示しており、単純なジャンル分けを超越した魅力的な作品であることを証明。読者を飽きさせない構成力の高さが評価できます。

総合評価

★★★★☆ 4/5

1巻で築かれた基盤の上に、本格的な事件が展開される見事な構成の2巻です。霧島の異常性がより鮮明になり、吉乃の強さも際立つなど、キャラクターの魅力がさらに深まっています。スリルとサスペンスに満ちた展開で、読者を最後まで飽きさせることなく楽しませてくれる優秀な巻です。

こんな人におすすめ

• 1巻を読んで続きが気になっている方
• サスペンス要素のある漫画がお好きな方
• 複雑な人間関係や組織の駆け引きに興味がある方
• スリルとドキドキ感を求める読者の方