東京喰種トーキョーグール:re 14巻 レビュー：竜と化したカネキの暴走！東京が未曾有の大混乱に陥る

作品概要

タイトル： 東京喰種トーキョーグール:re
作者： 石田スイ
出版社： 集英社（ヤングジャンプコミックス）
発売日： 2018年1月
巻数： 14巻

あらすじ

旧多二福の思惑通り、大量のオッガイを喰らったカネキは制御を失い、巨大な「竜」のような姿に変貌してしまいます。

理性を失ったカネキは24区から地上へと現れ、東京全体を恐怖に陥れます。無差別な破壊と捕食により、東京は未曾有の大混乱に陥り、人間と喰種の区別なく多くの命が失われていきます。

この絶望的な状況の中で、CCGと喰種たちは共通の脅威に立ち向かうため、かつてない決断を下すことになります。

見どころ

カネキの竜への変貌の衝撃

愛する人々を守るために戦い続けてきたカネキが、皮肉にも最大の脅威となってしまう皮肉な展開が衝撃的です。「竜」と化したカネキの巨大で異形な姿は、読者に強烈なショックを与えます。石田スイの描く竜の威容は美しくも恐ろしく、破壊の象徴として圧倒的な存在感を放っています。これまでの優しいカネキを知る読者にとって、この変貌は特に胸を打ちます。

東京全体を巻き込んだ空前絶後の大災害

竜と化したカネキによる東京の破壊は、シリーズ史上最大規模の災害として描かれています。建物の倒壊、人々の混乱、そして無差別な捕食の恐怖が生々しく表現されており、まさに黙示録的な光景が展開されます。この規模の災害描写は、物語のスケールを劇的に押し上げ、読者に強烈な印象を残します。

旧友たちの必死な呼びかけ

暴走するカネキに対して、永近英良（ヒデ）をはじめとする旧友たちが必死に呼びかける場面は非常に感動的です。特にヒデの声がカネキに届く瞬間は、友情の力を信じる読者の心を強く打ちます。理性を失った怪物と化したカネキの中に、まだ人間性が残っていることを信じる仲間たちの想いが美しく描かれています。

CCGと喰種の歴史的な共闘

共通の脅威であるカネキに対処するため、長年敵対してきたCCGと喰種たちが手を組むという歴史的な展開が描かれます。この前例のない協力関係は、シリーズのテーマである「共存」の可能性を示唆する重要な転換点となっています。敵味方の垣根を越えた協力は、新たな希望の光を感じさせます。

絶望の中に見える希望の光

絶望的な状況の中でも、カネキを救おうとする人々の意志が「間違ったこの世界」の光として描かれています。破壊と混乱の中で見せる人間性の輝きは、物語に深い意味を与えています。この希望の光が、次巻以降の展開への重要な布石となっています。

作者の特色・技法

石田スイの災害描写と心理表現の技術が極限まで発揮された巻です。大規模破壊の迫力と、登場人物たちの心理的な苦悩を同時に描く構成力は見事の一言です。また、絶望的な状況の中に希望を見出させる演出も非常に効果的で、読者の感情を巧みに操っています。

ジャンルとしての評価

ダークファンタジーとして、主人公が最大の敵となるという究極の皮肉を描いた傑作となっています。破滅と救済、絶望と希望の対比が最高レベルで表現されており、ジャンルとしての深みと完成度を示しています。

総合評価

★★★★★ 5/5 シリーズ最大の危機を描いた衝撃的な巻です。カネキの変貌、東京の破壊、そして新たな希望の光のすべてが最高レベルで描かれており、読者に忘れがたい印象を残します。絶望的な展開でありながら、その中に希望を見出させる構成は見事で、最終章にふさわしい重厚な内容となっています。

こんな人におすすめ

• 主人公の劇的な変貌を体験したい方
• 大規模災害とパニックシーンが好きな方
• 絶望的な状況からの希望を求める方
• シリーズ最大の危機を目撃したい方