ブルーピリオド 15巻 レビュー：広島での夏休み！八雲・鉢呂・桃代の過去と真田さんの影響

作品概要

タイトル： ブルーピリオド 第15巻
作者： 山口つばさ
出版社： 講談社（アフタヌーンKC）
発売日： 2023年11月
巻数： 第15巻

あらすじ

藝大2年目の夏、「公募展」を知った矢口八虎は、年上の同級生八雲と鉢呂に誘われて彼らの故郷・広島で夏休みを過ごすことになります。
作品制作に励みながら八雲、鉢呂、桃代たちと過ごすうちに、彼らの古い友人だった真田という藝大生の存在を知ります。彼女こそが仲間たちにアートへの強力な動機を植え付けた若き芸術家でした。

見どころ

公募展という新たな世界

「公募展」という、授業や課題とは一線を画す作品制作の世界を八虎が知る場面は重要です。賞金や展示など、より現実的でプロフェッショナルな美術界への入り口として公募展が紹介され、八虎の視野がさらに広がっていく様子が描かれています。これまでの学習とは異なる目標設定により、八虎の制作への取り組み方も変化していく過程が興味深く表現されています。

広島での仲間たちとの交流

八雲、鉢呂、桃代といった仲間たちとの関係が深まる広島での夏休みは、青春漫画としての魅力に満ちています。彼らの地元での生活や、普段とは違う環境での交流を通じて、キャラクター同士の絆が深まっていく様子が温かく描かれています。作品制作を共にしながら過ごす時間は、八虎にとって貴重な体験となっています。

真田という重要人物の存在

仲間たちの過去に大きな影響を与えた真田という人物の存在が明かされる展開は衝撃的です。彼女が八雲、鉢呂、桃代にアートへ向かう強力な動機を植え付けた若き芸術家だったという設定は、物語に新たな深みを与えています。直接登場しない人物でありながら、その影響力の大きさが仲間たちの言動から感じ取れる構成は巧妙です。

仲間たちの過去と動機の解明

これまで謎に包まれていた八雲、鉢呂、桃代の美術への動機や過去が明らかになっていく過程は感動的です。真田さんとの関係を通じて、それぞれがどのような経験をしてアートと向き合うようになったのかが丁寧に描かれています。この背景知識により、キャラクターたちへの理解と愛着がより深まります。

作者の特色・技法

山口つばさ先生のキャラクター描写の深さが特に光る巻です。直接登場しない真田さんというキャラクターの存在感を、他のキャラクターたちの回想や言動を通じて表現する技法は見事です。また、広島という地方都市の雰囲気や、夏休みの開放感も効果的に描かれており、読者も一緒に旅行している気分を味わえます。

ジャンルとしての評価

青春漫画として非常に魅力的な内容です。仲間との夏休みという青春の王道シチュエーションを通じて、キャラクター同士の関係性を深めながら、それぞれの過去や動機を探る構成は巧妙です。美術漫画としても、公募展という新たな要素を導入することで物語の幅を広げており、読者の興味を持続させる工夫が見られます。

総合評価

★★★★☆ 4.5/5 仲間たちの過去と現在をつなぐ重要な巻として、感情的な深みと物語の広がりを提供してくれます。真田さんという神秘的な人物の存在により、物語に新たな魅力が加わりました。次巻での展開への期待を大いに高める、充実した内容の巻です。

こんな人におすすめ

• 仲間との夏休みの思い出に懐かしさを感じる方
• キャラクターの過去や動機に興味のある方
• 影響を与えてくれた人への思いを持つ方
• 青春群像劇が好きな方