ブルーピリオド 2巻 レビュー：美術部での成長と藝大への憧れ！仲間との出会いが紡ぐ青春

作品概要

タイトル： ブルーピリオド 第2巻
作者： 山口つばさ
出版社： 講談社（アフタヌーンKC）
発売日： 2018年6月
巻数： 第2巻

あらすじ

美術の魅力に目覚めた矢口八虎は、美術部での活動を本格的に開始します。
個性的な仲間たちとの出会いを通じて絵を描く楽しさを学びながら、次第に東京藝術大学への憧れを抱くようになります。
しかし藝大の難易度の高さを知り、八虎は「自分の絵で何かを伝えたい」という強い思いから、この険しい道を歩むことを決意します。

見どころ

美術部での仲間たちとの交流

第2巻では美術部の仲間たちとの関係が深まります。特に鮎川龍二（ユカちゃん）との出会いは印象的で、彼の複雑なキャラクターが物語に深みを与えています。女性的な外見でありながら一人称が「俺」という設定から、彼の抱える内面的な葛藤が示唆されています。また森先輩や佐伯先生からの指導を通じて、八虎が美術の基礎を学んでいく過程が丁寧に描かれています。

藝大という目標の重さ

八虎が東京藝術大学を目標に定める過程が重要な見どころです。「二浪四浪は当たり前の世界」「現役高校生の合格倍率は60倍」という厳しい現実を知りながらも、八虎が挑戦を決意する場面は胸を打ちます。単なる憧れではなく、「自分の絵で何かを伝えたい」という明確な意志を持って目標を設定する姿は、読者に深い感動を与えます。

美大の多様性と専門性の紹介

美大といっても学科によって試験内容や求められる技能が大きく異なることが詳しく説明されています。油画科、日本画科、彫刻科、工芸科など、それぞれの特色や実際の作品例が紹介され、美術教育の幅広さと奥深さが分かりやすく表現されています。この構成により、読者も八虎と一緒に美大について学んでいく感覚を味わえます。

八虎の心境の変化と成長

美術への情熱が次第に本格的になっていく八虎の心境変化が見事に描かれています。最初は軽い気持ちで始めた美術が、次第に人生を左右する重要な選択となっていく過程は、青春期の心の動きとして非常にリアルです。特に友人や家族に美大受験を打ち明ける場面では、八虎の決意の強さと同時に不安も感じ取れる繊細な描写が印象的です。

作者の特色・技法

山口つばさ先生の教育現場への深い理解が随所に現れています。美術部での指導風景や、先生と生徒の関係性が非常にリアルに描かれており、作者の実体験に基づく説得力を感じさせます。また、キャラクターそれぞれの個性を表情や仕草で細かく表現する技法も秀逸で、読者がキャラクターに感情移入しやすい構成となっています。

ジャンルとしての評価

美術漫画・青春漫画として非常にバランスの取れた作品です。専門的な美術知識を分かりやすく伝えながら、高校生の心境変化や人間関係を丁寧に描いており、教育的価値と娯楽性を両立させています。特に目標設定とそれに向かう意志の形成過程は、青春漫画の王道を踏まえた優秀な構成となっています。

総合評価

★★★★☆ 4/5 1巻で描かれた八虎の変化をさらに発展させ、物語の方向性を明確にした重要な巻です。美術部での活動を通じて仲間との絆を深めながら、藝大という高い目標に向かう八虎の成長が印象的に描かれています。美術に関する知識も豊富に盛り込まれており、読者の知的好奇心も満たしてくれる充実した内容です。

こんな人におすすめ

• 部活動での仲間との絆を描いた作品が好きな方
• 高い目標に向かって努力する主人公を応援したい方
• 美術大学や芸術系の進路に興味のある学生
• 専門的な分野について楽しく学びたい方