来世は他人がいい 3巻 レビュー：嫉妬と独占欲！霧島の本性が露わになる衝撃回

作品概要

タイトル： 来世は他人がいい
作者： 小西明日翔
出版社： 講談社（アフタヌーン）
発売日： 2019年3月
巻数： 3巻

あらすじ

「次にくるマンガ大賞2018」（コミックス部門）1位を受賞した話題作の第3巻。染井吉乃の幼馴染みである鳥葦翔真の登場により、吉乃と深山霧島の関係に大きな変化が訪れます。
さらに吉乃の従姉妹明石潟椿も現れ、それぞれの思惑が複雑に交錯。霧島の異常なまでの嫉妬心と独占欲が露わになり、物語はより深い心理戦の様相を呈してきます。

見どころ

翔真の登場がもたらす関係性の変化

吉乃の中学時代からの幼馴染み鳥葦翔真の登場は、物語に新たな緊張感をもたらします。大学生の翔真は染井組で育った過去を持ち、吉乃との自然な関係性が霧島の嫉妬心を激しく刺激。この三角関係的な構図により、キャラクター同士の心理的駆け引きがより複雑化し、読者の興味を引きつけます。

霧島の狂気的な独占欲の全貌

3巻では霧島の本性がついに明らかになります。翔真に対する異常なまでの敵意、そして吉乃への執着心が頂点に達した時の恐ろしい発言は読者に強烈な印象を残します。美しい外見の裏に隠された狂気的な愛情表現は、従来のヤンデレキャラクターの枠を超えた独特な魅力を放っています。

椿という新たなキーパーソン

吉乃の従姉妹明石潟椿の登場により、物語はさらに複雑さを増します。京都出身の美しい椿が持つ独自の目的と、彼女なりの思惑が物語に新たな要素を加えています。彼女の存在は、吉乃と霧島の関係にさらなる波乱をもたらす重要な役割を果たしています。

心理描写の深化と成熟

3巻では各キャラクターの内面がより深く掘り下げられています。特に吉乃の心境の変化、霧島への複雑な感情、そして翔真との過去の関係性が丁寧に描かれており、単なる極道ラブストーリーを超えた心理ドラマとしての完成度が高まっています。

看病シーンでみせる霧島の別の顔

終盤で吉乃が夏風邪で倒れるシーンでは、霧島の意外な一面が描かれます。狂気的な独占欲とは対照的な、彼なりの純粋な愛情表現が垣間見えるこのエピソードは、読者に霧島というキャラクターの多面性を印象づける重要な場面となっています。

作者の特色・技法

小西明日翔先生の心理描写技術が特に光る巻です。キャラクター同士の微妙な感情の動きを、表情や仕草、そして効果的なコマ割りで表現する技術は見事です。また、緊張感のあるシーンとコミカルなシーンのバランス配置により、読者を飽きさせることなく最後まで引きつける構成力の高さが際立っています。

ジャンルとしての評価

極道ラブストーリーとしては、恋愛関係の複雑化により物語の深みが格段に増しています。従来の三角関係とは異なる独特な心理戦が展開されており、このジャンルにおける新たな可能性を示した革新的な作品として評価できます。読者の心理を巧みに操る構成力は、同ジャンルの中でも突出した完成度を誇っています。

総合評価

★★★★☆ 4/5

物語が本格的に動き出し、キャラクター同士の関係性が複雑化する重要な巻です。霧島の狂気的な一面がついに露わになり、読者に強烈なインパクトを与えています。翔真という新キャラクターの魅力も相まって、続きが気になって仕方がない仕上がりとなっています。心理描写の巧みさと予測不能な展開で、読者を完全に物語の世界に没入させる傑作です。

こんな人におすすめ

• 複雑な恋愛関係や三角関係の心理戦が好きな方
• ヤンデレ系キャラクターの魅力に惹かれる方
• 心理描写が丁寧な作品をお探しの方
• 予測不能な展開とキャラクターの成長を楽しみたい読者