BEASTARS 18巻 レビュー：レゴシ学園潜伏！警察に追われる展開で「本当の歴史」が明かされる

作品概要

タイトル： BEASTARS 18巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2020年4月
巻数： 第18巻（全22巻）

あらすじ

メロンを捕獲しようと単身シシ組のアジトへ突入してしまったレゴシ。なんとかメロンを追い詰めるものの、彼の巧みな逃亡術で逆にレゴシが警察に追われてしまう羽目になります。ほとぼりが冷めるまでチェリートン学園に潜伏することに決めたレゴシでしたが、そこで意外な出会いと、この世界の「本当の歴史」について重要な情報が明かされることになります。

見どころ

レゴシの学園潜伏という皮肉な展開

かつて学生として通っていたチェリートン学園に、今度は逃亡者として潜伏するという皮肉な状況が印象的に描かれています。学園という安全な場所だったはずの場所が、今や隠れ家となってしまった状況の変化が、レゴシの人生の変遷を象徴的に表しています。

メロンの巧妙な逃亡術

メロンの狡猾さと頭脳的な戦術が存分に発揮され、レゴシが逆に追い詰められる展開が緊迫感に満ちています。単純な力勝負ではない、心理戦や策略戦の要素が加わることで、物語により複雑な面白さが生まれています。

演劇部の新体制

ビルが演劇部の新部長として活動する様子が描かれ、かつてルイが築いた演劇部がどのように変化しているかが興味深く表現されています。カップ蕎麦の卵からヒナが出てくるという印象的なシーンも含めて、学園の日常が新鮮な視点で描かれています。

世界の「本当の歴史」の開示

この巻で最も重要な要素として、作品世界の「本当の歴史」に関する情報が明かされます。肉食獣と草食獣の関係性や、社会の成り立ちについてより深い背景が語られ、物語全体の理解がより深まる内容となっています。

作者の特色・技法

画力：逃亡者として緊張状態にあるレゴシの表情と、学園の平和な日常との対比が効果的に表現されています。同じ場所でありながら、立場の違いによって全く異なる雰囲気を醸し出す描写技術が秀逸です。

演出：過去と現在、平和と危険、日常と非日常といった対比を巧みに活用した構成が印象的です。読者に物語の変化と深さを実感させる演出手法が効果的に使われています。

ジャンルとしての評価

アクションサスペンスとしての要素を強めながら、同時に世界観の深い掘り下げも行われ、作品の多面性がさらに向上しています。個人の冒険譚から社会全体の歴史的背景へと視点が拡大し、より壮大なスケールでの物語展開が期待される内容となっています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
レゴシの立場の劇的な変化と、世界の歴史的背景の開示という二つの重要な要素が巧みに組み合わされた充実した巻です。追われる身となったレゴシの緊張感ある状況と、学園という懐かしい場所での新たな発見が対照的に描かれ、物語により深い奥行きを与えています。「本当の歴史」の開示により、作品世界への理解が深まり、今後の展開への期待がさらに高まる内容となっています。

こんな人におすすめ

• レゴシの立場の変化に興味がある読者
• 作品世界の歴史的背景を知りたい方
• 学園という馴染みの場所での新たな展開を楽しみたい読者
• アクションとサスペンス要素を求める方