東京心中・5- 【あらすじ・レビュー・試し読み】まさかの大阪勤務で遠距離恋愛！？モテオーラ全開の宮坂に注目

作品概要

タイトル： 聖誕祭-東京心中・5-
作者： トウテムポール
出版社： 茜新社（EDGE COMIX）
発売日： 2015年10月
巻数： 5巻（全10巻完結済み）

あらすじ

テレビ制作会社のADも板につき、宮坂絢は上司のディレクター・矢野聖司と同棲中で幸せな日々を送っていました。「ずっとこの幸せが続けばいいのに…」と思ったのもつかの間、矢野さんがまさかの大阪勤務に！？
突然の遠距離に傷心しアンニュイ化した宮坂は、なぜかモテオーラを隠せない状態になってしまいます。人気のワーキングBL「東京心中」シリーズ第5弾、闘うために立ちあがれ宮坂！！

見どころ

突然の遠距離恋愛という試練

安定した同棲生活から一転、矢野の大阪勤務により突然遠距離恋愛を強いられる二人。この設定により、関係の維持がいかに困難かがリアルに描かれます。遠距離恋愛経験者なら誰もが共感できる、すれ違いや不安、寂しさといった感情が丁寧に表現されています。

アンニュイな宮坂の新たな魅力

傷心でアンニュイ化した宮坂が、なぜかモテオーラを放つという面白い展開です。これまでのワンコ系から一転した、大人の男性としての魅力を身につけた宮坂の変化が見どころです。この変化により、宮坂というキャラクターに新たな深みが加わります。

「聖誕祭」というタイトルの意味

クリスマス（聖誕祭）という特別な季節を背景に展開される物語は、ロマンチックでありながらも切ない雰囲気に満ちています。この季節設定が物語全体に特別感を与え、二人の関係の重要な転換点を印象的に演出しています。

豊富な収録作品

「げんこつ山」「ハッピーバースディ」「我にかえった方が負け」「青年、完璧なモノを愛さず」「アップ サイド ダウン」「矢野さん(仮)の愛し方」「番外編 矢野さん(仮)デイズ」「番外編 行きて帰りし物語」と、多様なエピソードが収録されています。本編とは違った角度から二人の関係を楽しめます。

成長する宮坂の姿

遠距離という困難な状況に直面した宮坂が、ただ落ち込むのではなく「闘うために立ちあがる」姿が描かれます。この成長過程が読者に希望と勇気を与え、キャラクターへの愛着をより深めます。

作者の特色・技法

トウテムポールさんの心理描写の巧みさが特に光る巻です。遠距離恋愛の不安や孤独感を、表情だけでなく日常の些細な動作や環境描写を通して表現する技法が見事です。また、アンニュイな雰囲気を醸し出すコマ割りや構図の工夫により、読者も宮坂の心境に自然と同調できるような演出がなされています。

ジャンルとしての評価

ワーキングBLとして、恋愛関係が安定した後に訪れる現実的な問題を扱った優秀な作品です。遠距離恋愛という多くの人が経験する可能性のある状況を題材にすることで、感情移入できる内容になっています。
ジャンルの枠を超えて、一般的な恋愛作品としても十分に楽しめる完成度の高さを持っています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
遠距離恋愛という新たな試練を通じて、二人の関係がさらに深化していく過程を丁寧に描いた良作です。アンニュイな宮坂の新たな魅力と、困難に立ち向かう姿勢に心を打たれます。シリーズファンなら見逃せない、重要な転換点となる一冊です。

こんな人におすすめ

• シリーズの継続読者
• 遠距離恋愛の経験がある人
• キャラクターの成長を楽しみたい人
• 季節感のある恋愛ストーリーを求める人