BEASTARS 16巻 レビュー：レゴシ復活への道のり！種間関係の深まりと新たな挑戦

作品概要

タイトル： BEASTARS 16巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2020年1月
巻数： 第16巻（全22巻）

あらすじ

前巻でメロンの凶弾に倒れ重体となったレゴシの回復過程と、その後の展開が描かれます。生死の境をさまよった経験を経て、レゴシは新たな決意と共に復活への道のりを歩み始めます。
同時に、ヤフヤとの関係、ハルとの絆、そして社会全体における種間関係の問題がより深く掘り下げられ、物語はさらなる複雑さと深みを増していきます。

見どころ

レゴシの回復と精神的成長

メロンの襲撃から回復する過程で、レゴシの精神的な成長が丁寧に描かれています。生死の境での母との再会を経験した彼は、これまでとは異なる深い洞察力と強い意志を身につけており、その変化が読者にも伝わってきます。

種間関係の複雑化

レゴシとメロンの対峙を通じて、混血という立場の複雑さや困難さがより深く掘り下げられています。同じ境遇を持つ者同士の理解と対立が同時に描かれ、種族問題の根深さが浮き彫りになっています。

ヤフヤとレゴシの関係進展

現ビースターヤフヤとレゴシの関係がさらに発展し、師弟関係のような側面も見せ始めます。ヤフヤのレゴシに対する期待と指導、そしてレゴシの応答が興味深く描かれ、両者の化学反応が物語に新たな魅力をもたらしています。

ハルとの関係の深化

ハルとレゴシの関係も新たな段階に入り、互いをより深く理解し合う過程が美しく描かれています。前巻での家族との夕食を経て、二人の絆はより強固なものとなり、種族を超えた愛の可能性が示されています。

作者の特色・技法

画力：回復期のレゴシの表情や体調の変化が非常にリアルに描かれており、読者に彼の状況を体感させる技術が優れています。また、種族間の微妙な感情の動きも繊細に表現されています。

演出：回復という静的な過程と、社会情勢の動的な変化を巧みに組み合わせた構成が効果的です。個人の成長と社会全体の変化を並行して描くことで、物語により大きなスケール感を与えています。

ジャンルとしての評価

個人の成長物語と社会派ドラマの要素がさらに高次元で融合し、作品としての完成度が一層向上しています。種族問題という普遍的なテーマを、個人的な体験を通じて深く掘り下げる手法は非常に効果的で、読者により深い思考を促します。

総合評価

★★★★☆ 4/5
レゴシの回復を軸に、物語の様々な要素が有機的に結びついた充実した巻です。前巻での重大な出来事を受けて、キャラクター同士の関係性がより深いレベルで発展し、作品全体のテーマ性も一層鮮明になっています。種間関係という根本的なテーマを多角的に探求しながら、個人の成長物語としても説得力のある内容となっており、読者の期待に十分応える仕上がりです。

こんな人におすすめ

• レゴシの回復と成長を見届けたい読者
• 種族問題をより深く考察したい方
• キャラクター同士の関係性の発展を楽しみたい読者
• 個人の体験から社会問題を考える作品が好きな方