東京喰種トーキョーグール:re 7巻 レビュー：流島・コクリア同時作戦開始！琲世の運命的な決断

作品概要

タイトル： 東京喰種トーキョーグール:re
作者： 石田スイ
出版社： 集英社（ヤングジャンプコミックス）
発売日： 2016年6月
巻数： 7巻

あらすじ

CCGはアオギリの樹の本拠地である流島への大規模上陸作戦を決行します。同時に、本土では喰種収容施設コクリアの防衛作戦も展開されます。

佐々木琲世は有馬貴将と共にコクリアの警備を担当しますが、内部に侵入者の警報が鳴り響く中、彼は人生を変える重大な決断を下すことになります。

一方、流島では激しい戦闘が繰り広げられ、鈴屋什造をはじめとする捜査官たちが強敵と対峙します。

見どころ

流島・コクリア同時作戦の壮大なスケール

CCGが展開する史上最大規模の同時作戦が、圧倒的なスケール感で描かれています。流島への上陸作戦とコクリア防衛という二正面作戦の複雑さと、それを統括するCCGの組織力が見事に表現されています。作戦の全体像と各部隊の役割分担が詳細に描写され、読者は大規模軍事作戦の臨場感を味わうことができます。

琲世の運命的な決断と覚悟

コクリア内部で琲世が下す決断は、物語全体の流れを大きく変える重要な転換点となります。これまで抑えてきた自分の想いと向き合い、本当に大切なもののために行動する彼の姿は感動的です。”奪われる者”として生きてきた彼が、ついに”奪う者”として行動を起こす瞬間の描写は圧巻です。

高槻泉の衝撃的な告白

作家高槻泉が自身の正体について衝撃的な告白を行い、社会に大きな波紋を投げかけます。彼女の最終作「王のビレイグ」に込められたメッセージと、それが東京に与える影響が印象的に描かれています。文学作品を通じた社会への問題提起という要素が、物語に新たな深みを与えています。

鈴屋什造の成長と戦闘力

流島での戦闘において、鈴屋什造の目覚ましい成長と戦闘力の向上が描かれます。CCGの若手エースとしての実力を遺憾なく発揮する彼の活躍は見応え十分です。無印から続く彼の成長過程が、この重要な作戦で一つの頂点を迎える様子が印象的に表現されています。

有馬貴将の存在感と謎

最強の捜査官有馬貴将が見せる圧倒的な存在感と、彼を取り巻く謎が物語により深い興味を引き起こします。琲世との関係性や、彼が物語に果たす役割について重要な示唆が含まれており、読者の好奇心を大いに刺激します。

作者の特色・技法

石田スイの大規模戦闘シーンの描写力と、個人的なドラマの表現力が最高レベルで融合した巻です。複数の戦線を同時進行で描きながら、それぞれに明確な特色と意味を持たせる構成力は見事の一言です。また、琲世の内面描写と外的状況の変化を巧妙に連動させる技術も印象的です。

ジャンルとしての評価

ダークファンタジー・戦記物として非常に高い完成度を達成しており、個人的な成長物語と社会的な大変動を見事に融合させています。文学性とエンターテインメント性を両立させた、ジャンルの可能性を大きく押し広げる作品となっています。

総合評価

★★★★★ 5/5 シリーズの重要な転換点となる記念すべき巻です。琲世の決断、大規模作戦の開始、そして物語の核心部分への接近のすべてが高次元で描かれており、読者に強い感動と期待感を与えます。この巻を読めば、続きが気になって仕方がなくなるでしょう。シリーズ屈指の名作回です。

こんな人におすすめ

• 大規模戦闘と戦略的な作戦が好きな方
• 琲世の成長と決断を見届けたい方
• 物語の重要な転換点を体験したい方
• シリーズの核心部分に興味がある方