ブルーピリオド 17巻 レビュー：懐かしの美術部メンバーと再会！グループ展への新たな挑戦

作品概要

タイトル： ブルーピリオド 第17巻
作者： 山口つばさ
出版社： 講談社（アフタヌーンKC）
発売日： 2025年5月
巻数： 第17巻

あらすじ

学外コンクールでの入賞により「作家」としての道が開かれた矢口八虎。
そんな中、高校時代の美術部メンバーとの久しぶりの再会が実現します。それぞれが異なる道を歩んでいる仲間たちとの交流を通じて、八虎は自分の歩んできた道を振り返ることになります。
そして新たな挑戦として、グループ展への参加が決定し、八虎の美術活動はさらなる展開を見せます。

見どころ

高校美術部メンバーとの感動的な再会

物語の原点である高校美術部のメンバーたちとの再会は、読者にとっても懐かしく感動的な場面です。森先輩、鮎川龍二（ユカちゃん）、橋田悠など、八虎の美術人生において重要な役割を果たしてきた人物たちとの久しぶりの対面は、物語の集大成的な意味を持ちます。それぞれが歩んできた道のりや現在の状況を知ることで、八虎自身の成長も改めて実感されます。

それぞれの歩んだ道と現在

高校卒業後、それぞれが選択した異なる道についての描写が興味深く展開されます。美術の道を続けている者、別の分野に進んだ者、それぞれの選択とその結果が語られることで、人生の多様性と選択の重要性が示されています。八虎が藝大で学んでいる間に、仲間たちがどのような経験を積んできたのかを知ることは、彼にとって大きな刺激となります。

グループ展への参加決定

個人での入賞体験を経た八虎が、次の挑戦としてグループ展への参加を決めるという新展開は注目に値します。これまでの個人制作とは異なる集団での表現活動は、八虎にとって新たな学習機会となります。他のアーティストたちとの協働や、テーマの共有、展示空間の構成など、より実践的で社会的な美術活動への参加が描かれています。

八虎の振り返りと新たな決意

仲間たちとの再会を通じて、八虎は自分のこれまでの歩みを客観視することになります。高校時代の初心を思い出しながら、現在の自分の位置や将来への展望について考え直す八虎の姿は、成熟した判断力を示しています。過去の経験を糧に、新たな挑戦に向かう決意を固める過程が印象的に描かれています。

作者の特色・技法

山口つばさ先生の長期連載における構成力が見事に発揮された巻です。物語の初期から登場していたキャラクターたちを効果的に再登場させ、読者の感情に訴える演出は秀逸です。また、それぞれのキャラクターの成長や変化を、短い場面の中で効率的に表現する技術も優れています。過去と現在を繋ぐ構成により、物語全体の一貫性と深みが増しています。

ジャンルとしての評価

青春漫画・群像劇として非常に完成度の高い内容です。主人公の成長だけでなく、周囲のキャラクターたちの人生も含めて描くことで、作品世界に広がりと深みを与えています。美術漫画としても、個人制作からグループ展への展開により、美術活動の社会性や協働性という新たな側面を提示しており、読者の理解を深める内容となっています。

総合評価

★★★★★ 5/5 物語の集大成的な要素と新たな展開への期待を併せ持つ、感動的で充実した巻です。懐かしいキャラクターたちとの再会は読者にとっても特別な体験となり、八虎の新たな挑戦への期待も高まります。シリーズの魅力を凝縮した、ファンにとって必読の傑作です。

こんな人におすすめ

• 長く愛読してきたファンの方
• 仲間との再会に感動したい方
• グループでの創作活動に興味のある方
• 主人公の新たな挑戦を見守りたい方