東京喰種トーキョーグール:re 10巻 レビュー：黒山羊結成！カネキが隻眼の王として新組織を設立

作品概要

タイトル： 東京喰種トーキョーグール:re
作者： 石田スイ
出版社： 集英社（ヤングジャンプコミックス）
発売日： 2017年3月
巻数： 10巻

あらすじ

記憶を取り戻したカネキは、有馬貴将の遺志を継いで新たな道を歩み始めます。懐かしい「:re」に身を寄せた彼は、かつての仲間たちと再会し、人間と喰種が理解し合える世界を目指すための新組織「黒山羊（ゴート）」を結成します。

トーカ、ニシキ、ヨモといった旧あんていく組から、月山習、さらにはアオギリの樹の残党まで、様々な背景を持つ仲間たちが集結します。CCGとの対話を求めるカネキの新たな挑戦が始まります。

見どころ

感動的な仲間との再会シーン

カネキと旧あんていく組との再会は、シリーズ屈指の感動的なシーンとして描かれています。特にトーカとの再会は、長年のファンにとって待ち望んでいた瞬間であり、二人の関係性の変化と成長が美しく表現されています。懐かしい喫茶店「:re」での温かな雰囲気と、仲間たちの絆の深さが心に響きます。

黒山羊という革新的な組織の設立

人間と喰種の共存を目指す「黒山羊」の設立は、物語に革命的な変化をもたらします。これまでの対立構造を根本から変える試みとして、カネキが隻眼の王として示す新たなビジョンが印象的です。様々な立場の人々が一つの目標に向かって協力する姿は、希望に満ちた新章の始まりを感じさせます。

多様なメンバーの結集と化学反応

旧あんていく組、月山家、アオギリの樹の残党、そして元CCG捜査官まで、異なる背景を持つキャラクターたちが一堂に会します。それぞれが持つ個性と能力が組み合わさることで生まれる化学反応が見どころの一つです。平子丈をはじめとする元0番隊のメンバーたちの参加も、組織に新たな力をもたらします。

CCGとの対話への挑戦

武力による解決ではなく、対話による理解を目指すカネキの姿勢は、これまでの物語とは大きく異なるアプローチです。CCGとの交渉に向けた準備や、相互理解の可能性を探る過程が丁寧に描かれており、新たな希望を感じさせる展開となっています。

カネキの成長したリーダーシップ

隻眼の王として、そして黒山羊のリーダーとして、カネキが見せる成熟したリーダーシップが印象的です。これまでの受動的な姿勢から一転して、積極的に未来を切り開こうとする彼の変化は、キャラクターとしての大きな成長を示しています。仲間たちへの配慮と、大きな目標への意志の強さが両立した理想的な指導者像が描かれています。

作者の特色・技法

石田スイの群像劇としての構成力が最高レベルに達した巻の一つです。多数のキャラクターそれぞれに適切な見せ場を作りながら、全体として統一感のある物語を紡ぐ技術は見事の一言です。また、感情的な再会シーンと、組織運営の現実的な描写のバランスも絶妙です。

ジャンルとしての評価

ダークファンタジーの枠を超えて、社会変革をテーマとした壮大な物語へと発展しています。個人的な成長物語から始まった作品が、社会全体の変化を扱うスケールの大きな作品へと昇華されており、ジャンルとしての可能性を大きく押し広げています。

総合評価

★★★★★ 5/5 シリーズの新たな段階の始まりを告げる記念すべき巻です。感動的な再会、革新的な組織の設立、そして希望に満ちた新たな挑戦のすべてが高次元で描かれており、読者に深い満足感と今後への期待感を与えます。カネキの成長と仲間たちとの絆が最高の形で表現された傑作です。

こんな人におすすめ

• カネキと旧あんていく組の再会を待ち望んでいた方
• 新しい組織と理念に興味がある方
• キャラクターたちの成長と絆を重視する方
• 希望に満ちた新章の始まりを体験したい方