BEASTARS 21巻 レビュー：ルイが遂に動く！世の中は混沌へ…メロンの過去が明かされる

作品概要

タイトル： BEASTARS 21巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2020年10月
巻数： 第21巻（全22巻）

あらすじ

物語もついに佳境に入り、ルイがついに大きく動き出します。これまで静観していた彼の行動により、世の中は混沌とした状況へと発展していきます。また、ガゼルとヒョウのハーフであるメロンの壮絶な過去が明かされ、彼がなぜ「悪」として大きな存在となったのか、その決定的な過去の出来事が息詰まるような重さで描かれています。
最終決戦を前に、すべてのピースが揃っていく重要な巻となっています。

見どころ

ルイの決断的行動

これまで様子を見ていたルイが、ついに大きな行動に出る展開が描かれています。彼の決断は社会全体に波紋を呼び、物語を大きく動かすきっかけとなります。ルイらしい強いリーダーシップと、困難な状況でも自分の信念を貫く姿が印象的に表現されています。

メロンの壮絶な過去の開示

最大の敵役であるメロンの過去が詳細に明かされ、彼がなぜこれほど複雑で危険な存在となったのかが理解できる内容となっています。ガゼルとヒョウのハーフとして生まれた彼の苦悩と、それが彼を「悪」へと導いた経緯が心に重く響きます。

社会全体の混乱状況

ルイの行動とメロンの影響により、草食獣と肉食獣の社会全体が混乱に陥る様子が描かれています。個人の物語から社会全体の動乱へと発展し、物語のスケールがさらに拡大されています。この混乱は最終巻への重要な布石となっています。

最終決戦への準備完了

レゴシとメロンの最終対決に向けて、すべての要素が整い始める展開が描かれています。これまで積み重ねられてきた様々な伏線や関係性が、ついに決着へ向けて動き出す緊張感あふれる構成となっています。

作者の特色・技法

画力：メロンの過去を描く際の重々しい表現と、社会混乱の緊迫感を表現する描写技術が非常に優れています。特にメロンの幼少期の苦悩を表す表情や仕草が読者の心に深く刻まれます。

演出：個人の悲劇と社会全体の混乱を並行して描くことで、物語により重層的な深みを与えています。最終巻への期待を高めながら、同時にこれまでの物語の総決算的な要素も含んだ巧妙な構成となっています。

ジャンルとしての評価

クライマックスに向けてすべての要素が収束し始める段階として、非常に完成度の高い構成を見せています。個人の成長物語、社会派ドラマ、そして最終決戦への緊張感すべてが最高レベルで表現され、シリーズ全体の集大成への期待を強く抱かせる内容となっています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
最終巻を控えて物語のすべての要素が動き出す、非常に重要で感動的な巻です。ルイの決断的行動とメロンの悲劇的な過去の開示により、読者の感情は大きく揺さぶられます。社会全体が混乱に陥る中で見せる各キャラクターの成長と決意は、これまでの物語の積み重ねを感じさせる素晴らしい内容です。最終決戦への期待を最大限に高める、シリーズ屈指の名巻と言えるでしょう。

こんな人におすすめ

• ルイの新たな一面を見たい読者
• メロンの過去と動機を理解したい方
• 社会全体の変革を描いた作品に興味がある読者
• 最終決戦への期待を高めたい方