BEASTARS 20巻 レビュー：最終決戦目前！ハルに迫る危機とメロンの正体に迫る

作品概要

タイトル： BEASTARS 20巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2020年8月
巻数： 第20巻（全22巻）

あらすじ

レゴシとメロンの最終決戦目前、状況はより深刻さを増していきます。ルイの身に起きた悲劇、そしてメロンにその身を捧げる約束をしてしまったハル。
メロンが引き起こした混乱は思わぬところにも影を落とし始めていました。彼はなぜここまで混沌を生み出したいのか、なぜ悪に染まってしまったのか。その謎に迫る一方、レゴシとキューの修行も思わぬ方向に荒々しさを増していきます。

見どころ

ハルに迫る最大の危機

ハルがメロンにその身を捧げる約束をしてしまうという、シリーズ最大級の危機的状況が描かれています。これまで比較的安全な立場にいたハルが、ついに物語の中心的な危険に巻き込まれることで、読者の緊張感が最高潮に達します。

ルイの悲劇と苦悩

ルイの身に起きた悲劇が物語に重い影を落とし、彼の苦悩と葛藤がより深く描かれています。これまで強いリーダーシップを発揮してきた彼が直面する困難は、キャラクターとしての深みをさらに増しています。

メロンの動機と背景の探求

なぜメロンがここまで混沌を生み出したいのか、なぜ悪に染まってしまったのかという根本的な疑問に迫る展開が描かれています。単純な悪役ではない複雑な人物像が徐々に明らかになり、物語により深い奥行きが生まれています。

レゴシとキューの修行の激化

前巻から始まったレゴシとキューの修行が、さらに激しく荒々しい方向へと発展していきます。最終決戦を控えた緊迫感の中で、レゴシの肉体的・精神的な準備が最終段階に入ることが描かれています。

作者の特色・技法

画力：最終決戦を控えた緊張感や、各キャラクターが抱える重い感情が表情や仕草で繊細に表現されています。特にハルの危機的状況での表情や、メロンの複雑な心境を表す描写が印象的です。

演出：複数の重要な展開を同時に進行させながら、それぞれが有機的に結びつく構成力が光っています。最終決戦への緊張感を高めながら、キャラクターの心境の変化も丁寧に描く演出技法が秀逸です。

ジャンルとしての評価

クライマックスに向けてすべての要素が収束していく構成として、非常に高いレベルで完成されています。アクション、心理ドラマ、社会派要素すべてが最高潮に達し、読者に強い感動と緊張感を与える作品として優れた出来栄えです。

総合評価

★★★★☆ 4/5
最終決戦を控えて緊張感が最高潮に達し、すべてのキャラクターの運命が大きく動く重要な巻です。ハルの危機、ルイの悲劇、メロンの背景探求、レゴシの修行完成と、多層的な展開が同時に進行しながら、それぞれが物語全体の完結に向けて重要な役割を果たしています。19巻で感じられた迷走感を払拭し、本来の魅力を取り戻した充実の内容となっており、最終決戦への期待を大いに高めます。

こんな人におすすめ

• クライマックスに向けた緊張感を楽しみたい読者
• ハルとレゴシの関係の最終的な行方を見届けたい方
• メロンという敵役の深い背景に興味がある読者
• 物語の完結に向けた総仕上げを体験したい方