HUNTER×HUNTER 34巻レビュー:ヒソカ対クロロ決着、王位継承戦の恐怖開始

HUNTER×HUNTER34 少年漫画

作品概要

タイトル: HUNTER×HUNTER 34
作者: 冨樫義博
出版社: 集英社(ジャンプコミックス)
発売日: 2017年6月
巻数: 第34巻

あらすじ

天空闘技場でヒソカクロロの宿命の決戦がついに開始されます。
クロロは新能力を次々と披露してヒソカを追い詰めていき、極限の戦いが繰り広げられます。
一方、暗黒大陸へ出航したクラピカとカキン王国の王子たちですが、船上では早速不可解な死が発生し始めます。
念獣による王位継承戦という新たなデスゲームの恐ろしさが明らかになる、緊張感に満ちた一冊です。

見どころ

ヒソカ対クロロの本格バトル開始

長年待ち望まれていたヒソカクロロの戦いがついに実現します。クロロが披露する新能力「番いの破壊者(サンアンドムーン)」や「転校生(コンバートハンズ)」などの組み合わせ戦術は、彼の戦略家としての能力を遺憾なく発揮した見事な戦闘です。一方、ヒソカも「バンジーガム」と「ドッキリテクスチャー」を駆使して応戦し、両者の技術と策略が激突する手に汗握る展開となっています。

クロロの圧倒的戦略と新能力

クロロが見せる戦術の緻密さは圧巻です。複数の能力を組み合わせて戦場をコントロールし、ヒソカを徐々に追い詰めていく様子は、彼が単なる盗賊の頭目ではなく、優秀な戦略家であることを印象づけます。特に観客を利用した大規模な攻撃や、能力の連携による予測不可能な戦術は、念能力バトルの新しい可能性を示した名勝負として描かれています。

王位継承戦という新たなデスゲーム

暗黒大陸への船旅で始まる王位継承戦は、これまでにない複雑で恐ろしいシステムとして紹介されます。14人の王子がそれぞれ固有の念獣を持ち、最後の一人になるまで戦い続けるという設定は、サバイバル要素と政治的駆け引きを組み合わせた新しいタイプのバトルロイヤルです。特に念獣が無意識に発動されることで、王子たち自身も自分の能力を理解していないという設定が、状況をより複雑で予測不可能なものにしています。

クラピカの新たな使命と責任

クラピカが第14王子ワブルの護衛として王位継承戦に参加することで、彼の物語が新しい段階に入ります。緋の眼の回収という個人的な目標と、幼い王子を守るという職業的責任の間での葛藤は、クラピカの人間的成長を示す重要な要素です。特に多数の護衛が短時間で脱落していく中で、彼が冷静に状況を分析し対策を講じる姿は、プロハンターとしての成熟を感じさせます。

作者の特色・技法

冨樫義博先生の戦闘描写技術と世界観構築力が同時に発揮された巻です。ヒソカ対クロロの戦いでは、複雑な能力の組み合わせを分かりやすく視覚化し、読者が戦術を理解しながら楽しめる構成になっています。一方、王位継承戦の導入では、大量のキャラクターと複雑なルールを整理して提示する構成力の高さを見せています。両方の要素を一冊の中でバランス良く配置する編集技術も見事です。

ジャンルとしての評価

バトル漫画とサバイバルサスペンスの要素を高次元で融合させた意欲作です。一対一の純粋なバトルから、多人数による複雑な駆け引きまで、様々なタイプの戦いを一つの作品内で表現することで、ジャンルの幅を大きく広げています。特に王位継承戦のシステムは、従来のバトルロイヤルものに政治的要素と超能力要素を組み合わせた革新的な設定として、新しい可能性を示しています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
長年待望されていたヒソカ対クロロの戦いと、新章の王位継承戦の導入を見事に両立させた重要な巻です。異なる二つの要素を一冊の中で効果的に組み合わせることで、読者に多様な楽しさを提供しています。特にクロロの戦略的な戦闘スタイルと、王位継承戦の複雑なシステムは、HUNTER×HUNTERの新たな魅力を開花させる重要な要素として機能しています。

こんな人におすすめ

  • 長年待望されていた名勝負を楽しみたい方
  • 戦略的で複雑な能力バトルを重視する方
  • 新しいデスゲームシステムに興味がある方
  • 政治的駆け引きを含むサバイバルを求める方
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