HUNTER×HUNTER 14巻レビュー:グリードアイランド編開始、未知のゲーム世界への挑戦

少年漫画

作品概要

タイトル: HUNTER×HUNTER 14
作者: 冨樫義博
出版社: 集英社(ジャンプコミックス)
発売日: 2002年4月
巻数: 第14巻

あらすじ

ジンのメッセージを受け取ったゴンキルアは、ついに念能力者専用ゲーム「グリードアイランド」をスタートします。
何もかもが未知数の世界で、二人は他のプレイヤーたちと遭遇し、ゲームの基本ルールを学んでいきます。
しかし、謎の呪文でキルアが攻撃を受けるなど、このゲームが単なる娯楽ではないことが明らかになります。同盟の誘いを断り、独自の道を歩むことを決めた二人の新たな冒険が始まります。

見どころ

グリードアイランドの世界観とシステム

この巻最大の魅力は、グリードアイランドという独特なゲーム世界の紹介です。現実世界とは異なるルールで動く仮想空間でありながら、念能力者にとっては生命の危険も伴う本格的な冒険の場として設定されています。カードシステムによるアイテム管理や、指定ポケットカードの収集という明確な目標設定は、読者にとって分かりやすく、かつ興味深いゲーム要素として機能しています。

他プレイヤーとの初遭遇と緊張感

ゲーム内で他のプレイヤーと遭遇するシーンは、このゲームの危険性を如実に表す重要な場面です。特にキルアが謎の呪文で攻撃を受ける展開は、プレイヤー同士の対立と競争がゲームの本質的な要素であることを示しています。ゲーム内とはいえ、現実と同じく命の危険があることが明らかになり、緊張感のある冒険が約束される展開となっています。

ジンのメッセージと父子の絆

ゴンが受け取ったジンからのメッセージは、父子の絆を感じさせる重要な要素です。「ゲームを楽しめ」という言葉には、息子の成長を信じる父親の気持ちが込められており、ゲームへの取り組み方に対する指針として機能しています。ジンの存在が物語の背景に感じられることで、単なるゲーム攻略を超えた感情的な深みが加わっています。

ゴンとキルアの独立性と判断力

同盟の誘いを断り、二人だけで行動することを選択する場面は、彼らの成長と自立性を示す重要な判断です。他のプレイヤーに頼ることなく、自分たちの力でゲームを攻略しようとする姿勢は、彼らの冒険者としての誇りと友情の深さを表現しています。この決断により、より困難で危険な道を歩むことになりますが、それが彼らの成長につながることが期待される展開です。

作者の特色・技法

冨樫義博先生の世界観構築力が特に発揮された巻です。グリードアイランドというゲーム世界の設定は非常に緻密で、現実世界との違いとゲーム固有のルールが分かりやすく説明されています。また、カードを使ったアイテム管理システムの視覚的表現も秀逸で、読者がゲームの仕組みを理解しやすいよう工夫されています。キャラクターの表情描写も豊かで、新しい世界への期待と不安が巧みに表現されています。

ジャンルとしての評価

ゲーム世界を舞台にした冒険譚として、新しいジャンルの可能性を示した画期的な作品です。単なるバーチャルリアリティではなく、念能力という超能力システムと組み合わせることで、ファンタジーとSFの要素を自然に融合させています。また、明確なゲーム目標と現実的な危険性のバランスは、読者にとって理解しやすく、かつスリリングな冒険物語として成立させています。

総合評価

★★★★☆ 4/5 新章の導入部として、グリードアイランドの魅力と危険性を余すことなく紹介した優秀な巻です。ゲーム世界という新しい舞台設定により、HUNTER×HUNTERの物語に新たな可能性と楽しさが加わっています。ゴンとキルアの冒険者としての成長を感じさせる判断力と、これから始まる長大な冒険への期待感を高める構成として、非常に効果的な一冊です。

こんな人におすすめ

  • 新しい世界観と設定に興味がある方
  • ゲーム世界を舞台にした冒険譚を楽しみたい方
  • 明確な目標設定と攻略要素を重視する方
  • 主人公コンビの成長と友情を求める方
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