BEASTARS 19巻 レビュー：キューとの過激な修行開始！ルイの元生餌仲間が登場で衝撃の特訓

作品概要

タイトル： BEASTARS 19巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2020年7月
巻数： 第19巻（全22巻）

あらすじ

ルイのかつての生餌仲間である雌ウサギのキューが登場します。草食獣かつ小柄でありながら、レゴシを一瞬で制圧する驚異的な戦闘能力を持つ彼女に、メロンとの決戦に向けて修行をお願いしたレゴシ。
しかし、キューの修行方法は予想をはるかに超える過激なもので、レゴシの価値観や固定観念を根底から揺さぶる内容となっていきます。

見どころ

キューという衝撃的なキャラクター

ルイの過去と深く関わるキューの登場は、物語に新たな衝撃をもたらします。小柄な雌ウサギでありながら圧倒的な戦闘能力を持つ彼女の存在は、草食獣の弱さという固定観念を完全に覆し、読者に強いインパクトを与えます。

常識を覆す修行内容

キューが提案する修行は、これまでのレゴシの価値観を根底から覆すような過激な内容です。「これは胸だ。その奥に筋肉、骨、臓器がある。触ってみろ」という直接的なアプローチは、レゴシの女性観や草食獣観に大きな変化をもたらします。

大型肉食獣のオスの傲慢さへの指摘

キューがレゴシに対して「大型肉食獣のオスの傲り」を厳しく指摘する場面は、作品のテーマである偏見や差別について深く考えさせられます。「草食獣を哀れんだり女を弱いと断定するのもお前のおごりだ」という言葉は、読者にも大きな気づきをもたらします。

レゴシの価値観の根本的な変革

これまで保護者的な立場から草食獣を見ていたレゴシが、キューによって対等な関係性について教えられる過程が印象的です。彼の草食獣観、女性観が根本から問い直される重要な成長の機会として描かれています。

作者の特色・技法

画力：キューの小柄な体格と圧倒的な戦闘能力のギャップを視覚的に表現する技術が優れています。また、レゴシの戸惑いや困惑を表す表情描写も非常に繊細で効果的です。

演出：読者の予想を裏切る展開と、それによって生まれる緊張感や驚きを巧みに演出しています。固定観念を覆すという重要なテーマを、具体的な行動と会話を通じて説得力を持って描いています。

ジャンルとしての評価

バトル漫画としての要素を強めながら、同時に社会的な偏見や固定観念について深く掘り下げる社会派的側面も強化されています。エンターテイメントとして楽しめながら、読者に重要な気づきを与える作品として、高い完成度を示しています。

総合評価

★★★★☆ 4/5
キューという衝撃的なキャラクターの登場により、レゴシの価値観が根本から揺さぶられる重要な巻です。これまで当然だと思っていた考え方や見方が問い直される過程は、読者にとっても大きな学びとなります。過激な修行内容は賛否が分かれるかもしれませんが、作品のテーマである偏見や固定観念の克服という点で、非常に意義深い内容となっています。

こんな人におすすめ

• レゴシの価値観の変化を見たい読者
• 固定観念について深く考えたい方
• 強力な女性キャラクターに興味がある読者
• 社会的なテーマを含む作品を求める方