BEASTARS 15巻 レビュー：メロンの凶弾でレゴシが重体に！母レアノの過去と自死の真相が明らかに

作品概要

タイトル： BEASTARS 15巻
作者： 板垣巴留
出版社： 秋田書店（少年チャンピオン・コミックス）
発売日： 2019年10月
巻数： 第15巻（全22巻）

あらすじ

血の気の多いヤフヤに気に入られたレゴシは、破格の条件で潜入捜査に駆り出されます。「協力すればハルとの結婚の妨げになる食肉の前科をもみ消す」という条件で、上流階級の「仮面夜行会」に潜入することになりました。
しかし、ハーフの悪獣メロンが放った凶弾に倒れ、レゴシは重体に。生死の境でまさかの幽体離脱を経験し、自殺した母レアノと再会することになります。

見どころ

ヤフヤによる潜入捜査の依頼

現ビースターヤフヤがレゴシに対して破格の条件を提示し、潜入捜査への協力を求める展開が興味深く描かれています。「この社会で君がどこまで汚れないか僕に見せてくれ！！」というヤフヤの言葉は印象的で、レゴシの純粋性への期待が込められています。

仮面夜行会という上流社会の闇

上流階級の獣人たちが開催する「仮面夜行会」という設定が非常に興味深く、作品世界の社会階層や闇の部分が巧妙に描かれています。種族を隠して淫靡な交流を楽しむという設定は、作品のテーマである種族差別を別の角度から照射しています。

メロンとの対峙と重傷

ハーフの悪獣メロンとの対峙シーンは緊迫感に満ちており、レゴシが凶弾に倒れるという衝撃的な展開は読者に強いインパクトを与えます。同じ混血であることへの共感から、メロンを逃してしまうレゴシの判断は賛否が分かれるところですが、彼らしい選択でもあります。

母レアノとの幻想的な再会

生死の境をさまよう中で、自殺した母レアノと再会するシーンは作品屈指の名場面です。これまで語られなかった母親とレゴシの出生の秘密があっさりと語られ、レゴシのアイデンティティに関わる重要な情報が明かされています。

作者の特色・技法

画力：幽体離脱という幻想的なシーンの表現が美しく、生と死の境界を視覚的に表現する技術が向上しています。特に母との再会シーンでの繊細な表情描写が印象的です。

演出：現実と幻想、意識と無意識の境界を巧みに表現した演出が秀逸です。緊迫した潜入捜査から一転して内省的な母との対話へと移行する構成の妙が光っています。

ジャンルとしての評価

社会派サスペンスとしての要素を強めながら、同時にレゴシの内面的な成長と家族の秘密という個人的なテーマも深く掘り下げており、作品の多層性がさらに増しています。生と死、過去と現在を巧みに織り交ぜた構成は高く評価されます。

総合評価

★★★★☆ 4/5
レゴシの生死に関わる重大な転機と、母親の過去という重要な秘密が明かされる、物語の重要な節目となる巻です。メロンという新たな敵役の登場と、レゴシのアイデンティティに関わる深い掘り下げが同時に行われ、読者により深い感動と衝撃を与えています。幻想的な母との再会シーンは特に印象深く、作品の新たな魅力を開拓した内容となっています。

こんな人におすすめ

• レゴシの出生の秘密に興味がある読者
• 幻想的で美しいシーンを楽しみたい方
• 社会の闇を描いたサスペンス要素が好きな読者
• 家族の絆や過去の秘密をテーマにした作品を求める方