光が死んだ夏 5巻【あらすじ・レビュー・試し読み】「謎解き編」の真髄——明かされる過去と迫りくる決断の時

女性漫画

作品概要

タイトル: 光が死んだ夏
作者: モクモクれん
出版社: KADOKAWA(角川コミックス・エース)
発売日: 2024年6月
巻数: 第5巻

あらすじ

よしきは光にすり替わった「ナニカ」と共に歩むことを決意しましたが、変質の兆しは周囲の環境だけでなくヒカルにも表れ始めていました。

このままではいられないと実感した二人は、「ナニカ」の正体に迫るため調査を続けていきます。

「クビタチ」の歴史、「ノウヌキ様」の正体、「忌堂の罪」——その全てが明かされた時、「ナニカ」であるヒカルが下した決断とは。

見どころ

待望の謎解きと真相の解明

第5巻では、これまで断片的にほのめかされてきた数々の謎が具体的に明かされます。「クビタチ」の歴史「ノウヌキ様」の正体、そして「忌堂の罪」について、読者が待ち望んでいた核心部分が遂に語られます。集落の因習や過去の出来事が詳細に描かれ、物語全体の背景が明確になることで、これまでの展開に新たな意味が与えられます。

ヒカルの変質と苦悩の深化

「ナニカ」であるヒカルに現れ始めた変質の兆しが、物語に新たな緊迫感をもたらします。人間らしい感情を獲得しつつある一方で、本能的な部分をコントロールしきれなくなっているヒカルの苦悩が痛切に描かれています。よしきを傷つけたくない想いと、一緒にいたい気持ちの間で揺れ動く心境は、読者の胸を打つものがあります。

決断の重さと覚悟の描写

全ての真実が明らかになった時、ヒカルが下した決断の重さが物語に深い感動をもたらします。自分の居場所への拘りを捨て、よしきを守るために「山へ帰る」という選択は、キャラクターの成長と愛情の深さを示す重要なシーンです。しかし、その決意さえも新たな展開によって覆される構成は見事というほかありません。

描き下ろし短編「共に生きる」

巻末には「共に生きる」をテーマにした描き下ろし短編が収録されており、本編とは異なる視点から二人の関係性を描いています。この短編により、物語全体のテーマがより深く理解でき、読者の心に強い印象を残します。

作者の特色・技法

第5巻では、モクモクれんの物語構成力が最高潮に達しています。複雑な設定や過去の出来事を、読者にとって理解しやすい形で整理して提示する技術は卓越しており、謎解きの爽快感と感情的な満足感を両立させています。ヒカルの変質を表現する際の画力も格段に向上し、恐怖と哀しみが混在する複雑な感情を視覚的に伝える技術は見事です。

ジャンルとしての評価

「謎解き編」の集大成として、青春ホラーというジャンルの新たな可能性を示した傑作です。単なる謎の解明にとどまらず、キャラクターの内面的成長と関係性の深化を同時に描くことで、読者に多層的な満足感を提供しています。ホラー要素も心理的な恐怖から、より直接的で視覚的な恐怖へと発展させながら、作品の持つ独特な雰囲気を保持している点も高く評価できます。

総合評価

★★★★★ 5/5 「謎解き編」の完結として申し分ない完成度を誇る傑作です。長年の謎が明かされる爽快感と、キャラクターの深い成長に感動する感情的な満足感が見事に融合しています。物語の転換点となる重要な決断が描かれ、次の段階への期待を最大限に高めてくれる構成は秀逸です。シリーズ全体の中でも特に印象深い一巻として、多くの読者の記憶に残るでしょう。

こんな人におすすめ

  • これまでの謎の解明を心待ちにしていた方
  • キャラクターの内面的な成長と決断の重さを味わいたい方
  • 物語の核心部分に触れる重要な展開を見届けたい方
  • 感動的なクライマックスを求める読者の方
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